二つの季節しかない村

「雪の轍」でカンヌ国際映画祭パルム・ドールに輝いたヌリ・ビルゲ・ジェイランが、トルコのアナトリア東部を舞台に、壮大な自然の中に人間の卑小さを描き出すドラマ。村人から尊敬される美術教師のサメットはある日、虚偽の“不適切な接触”を告発される。メルヴェ・ディズダルは、本作でトルコ人初のカンヌ国際映画祭女優賞に輝いた。

冬が長く、雪深いトルコ東部の村に暮らす美術教師のサメットは、村を忌み嫌いながらも、村人たちからの尊敬を集め、女生徒セヴィムにも慕われていた。ところがある日、同僚のケナンと共に、セヴィムらに虚偽の“不適切な接触”を告発される。同じ頃、サメットは美しい義足の英語教師ヌライと知り合うが……。プライドが高く、ひとりよがりで屁理屈を並べ、周囲を見下し、まったく愛せないのに他人事と思えないサメット。辺境の地でくすぶる男は、雪解けとともに現れた枯れ草に何を見つけ出すのか……。