製薬業界の雄、丸木製薬は、最近経営陣が交代し、株屋上りの角沼が社長に就任した。早速、角沼は、下請けの泉薬品社長、泉田に合併の話をもちこんだ。が、泉薬品では目下、服部の独創的な研究で、画期的新薬が完成寸前であったため、慎重にことを運ぼうとしていた。丸木製薬の営業部長松崎に、拾われ、インテリやくざから、まともな人生コースを歩むようになった泉田にとって、丸木製薬に対する恩義は十分に感じていた。ところが、松崎は、突然、原因不明の自殺を計った。松崎と最後まで一緒に行動をとっていた、女給久子もこの日から、姿を消していた。死因に疑惑をもった泉田は、業界紙の敏腕記者北見典子と捜査にのり出した。一方角沼は、新薬発表をいそぎ、臨床事件のいまだなされないまま、強引にジャーナリズムを利用した大発表を行った。当然丸木製薬の株は騰貴した。この発表は業界をわかせたが、丸木製薬に対抗する吉野製薬の女社長、吉野夏子は、ひそかに産業スパイを放し、新薬の秘密を盗もうとたくらんでいた。この間泉田は、尚も、松崎の死因を追求していた。松崎はアスト安価横流しの汚名をきせられ、自殺したと、言い切る、角沼と新営業部津川に、それは嘘構だと迫まる泉田も確証がつかめぬまま、泉田殺し屋立花に襲われた。駐車場中から助けをもとめた久子を救いに行った時の出来事だ。そんな時、角沼は、突如、新薬発表を取り消した。株屋角沼の策戦通りだ。ジャーナリズムの非難は泉田にむけられたが、暴落する株価を前に、一人ほくそえむ角沼だった。そして翌日、マンモスビルを構えた角沼の前に全てを知った泉田が立ちふさがった。松崎の愛人久子を利用して、角沼が計った殺人だったのだ。そして新薬のデーターを盗み完成させたと誇る吉野製薬社長を前に、泉田は、新薬の最大ポイントである部分の特許を取ってあるから、その新薬品は無効だと言い放った。松崎が残していってくれた助言だったのだ。