深い雪に閉ざされた森の奥にひっそりとたたずむ洋館、ミモザ館。そこは社会から孤立してしまった現代の迷える羊たちが生活する小さなコミューンだった。ある冬の日、ひとりの少女が風のようにやってきて、新田看護婦に迎え入れられた。みほという名前のその15歳の少女は、いつも微熱があり、そのせいか素晴らしい感性を持っていた。彼女は孤独なミモザ館の住人たち、綿引耕平、砂弥夫妻、谷、下丸子、尾見、紀子、優の淋しい気持をときほぐしていく。また、夜になり熱が上がると彼らの夢の中に入っていく。だが、みほの自由奔放なふるまいは、ミモザ館の規律の中では認められず、彼女の淋しさだけが深まっていく。ある日、屋根裏部屋で優の誕生パーティを内緒で祝おうとしたみほは、優を驚かせ泣かせてしまう。みほを叱る新田。その夜、新田は住人たちが楽しそうに雪の森をさまようのを見る。翌朝、みほの姿はなく、6歳の少女が館を訪れた。彼女の差しだした手紙を読んだ新田は「ようこそ、みほちゃん」と迎え入れるのだった。