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2007年にTVの深夜ドラマとしてシーズン1が始まり、2010年のシーズン2ではゴールデンタイム枠に進出。その後、同年の映画「LIAR GAME ザ・ファイナルステージ」でいったんは物語が終了した「LIAR GAME」シリーズ。だが2012年の今年になって映画「LIAR GAME ‐再生‐」が登場。シリーズは新たな展開を見せている。
この機会にシリーズ立ち上げ当初からメイン演出を担当し、新作映画も手掛けた松山博昭監督に、「LIAR GAME」の魅力を語ってもらった。
■ 松山博昭監督
松山深夜に新しい枠でドラマを始めるにあたって、映像的にエッジの立ったものにしようという想いはありました。それでシーズン1の最初からちょっとデフォルメされた異空間で、世界を統一しようという狙いを持って臨みました。ファンタジー的な雰囲気を出したいと思いましたし、その当時は原色を使った派手な映像のCMが多くて、そういうものをなぜTVドラマではやらないのかとも思っていたんです。またこの作品は、ひとつのゲームを行う会場でメインの出演者たちが一堂に会して、人間同士の騙しあいや裏切りあいを描くものですから、何週にもわたってほぼ1セットの中で物語が展開する。TVの常識からすれば、飽きずに見せていくのはそれだと厳しいのではないかと周りから言われました。そういう意味では挑戦だったんですが、第3話から“少数決”を3週やって“結構、面白いじゃん”という反応をいただいたので、これでいけると感じたんです。今ではよくここまで作品が認知されたなと思いますね。
松山中心にいるのは純粋無垢で馬鹿正直な神崎直。彼女が嘘つきたちの中に放り込まれて、周りの人間たちに影響を与えていく。嘘つきよりも正直者のほうが強いという、シンプルな結論に行き着く作品だったんです。秋山に関しても神崎直と触れ合うことで、人間的に成長していくドラマがあった。ただ僕がTVドラマを作っている時に描くまいと思っていたのは、二人の関係性ですね。例えば少しずつ仲良くなっていくとか、恋愛的な感情を持つなんていうのは、一切描かなかった。TVではそういうものを削ぎ落として、ゲームの展開の面白さで引っ張っていこうとしたんです。ただ彼らのゲームの終着点となる映画の「ザ・ファイナルステージ」では、意図的に彼らの人間ドラマも入れました。それは連続ドラマのTVと、2時間でお話を描く映画との語り口の違いということですけれど。
松山現在では、このシリーズはキャラクター・ショー的な一面も持っています。それは始めに福永が強烈な出方をして、テンション高く飛ばしてくれたのが大きいですね。福永は最初に、鈴木さんといろいろ試行錯誤しながら衣裳や髪形を決めていきました。“キノコ”と呼ばれる元になったマッシュルーム・カットも、実は偶然の産物なんです。
松山前は神崎直という特殊な個性を持ったヒロインに周りが影響されていく物語でしたが、今度は多部未華子さん演じる篠宮優という普通の女の子が、ゲームに参加することで恐怖に怯えたり、人を裏切ったりしながら人間的に成長していく物語を作りたいと思いました。その彼女を成長させていくのが、これまでの作品で自身が成長してきた秋山深一であると。コンビのバランスと役割が、これまでとはかなり変わっているんです。
松山ちょうど「ザ・ファイナルステージ」を作っている時に、原作では“イス取りゲーム”を連載中だったんです。面白いとは思いましたが、これは屋外でイスを探したり、隠したり、一度ゲームをやる度に投票も表でやっていましたから、物理的な効率を考えると映像化は難しいと思いました。でも検討を重ねてロケ地となる廃工場を見つけまして、そこなら屋外でイスを争って、屋内で投票する画を撮れると思ったんです。ああいうオープンな空間で「LIAR GAME」を作れるかは挑戦でしたが、ちょっと中近東的な不思議な世界観を生み出せたと思いますね。
松山船越さんは、まさかあそこまでやりきってくれるとは思いませんでした。またみなさん、この世界を分かってくれているなと思ったのは、いろんなグループの間でうまく立ち回ろうとする、嶋という役を演じた池田鉄洋さんが“今回は僕の『アアーッ』というリアクションの声の大きさによって、そのときどれだけ凄いことが起きているのか分からせたいと思います”と言ってくれた時。この作品は、その瞬間での人と人との熱量のぶつかり合いが大きな面白さですので、俳優さんたちがどう表現するかが大事なんです。池田さんは、そのことをよく分かっていましたね。
松山とりあえずノーコメントにさせてください。続けたいという思いはありますが、「再生(リボーン)」の路線と踏襲してゲームだけ変えてもしょうがないと思いますし、今は葛藤していますね。ただこの作品はゲームの面白さと人間の成長が二つの柱になって、バランスよく物語を展開させていかないといけない。それに見合ったアイデアが見つかれば。いや、まだ先のことは分からないですね(笑)。
監督の話で印象に残ったのは、「人は騙しあうよりも、信じあうことのほうが強い」というこの作品のシンプルなメッセージこそ、最も現代性があるんじゃないかと語ってくれたことだった。学校や会社の人間関係、国と国との関係で、今ほど信じあうことの大切さが求められている時代もないかもしれない。そのことを「LIAR GAME」は娯楽というフィルターを通して、伝えているような気がした。
(取材・文=金澤誠)
「LIAR GAME ー再生ー」の作品情報を見る >>
2012年公開 カラー・ビスタビジョン・131分 製作/フジテレビジョン=集英社=東宝=FNS27社 監督/松山博昭 原作/甲斐谷忍 脚本/岡田道尚、黒岩勉 撮影/宮田伸 音楽/中田ヤスタカ 出演/松田翔太、多部未華子、芦田愛菜、江角マキコ、船越栄一郎
1973 年生まれ・岐阜県出身。フジテレビジョン編成制作局ドラマ制作センター所属ディレクター。TVドラマ「ライアー・ゲーム シーズン1・2」(07・09年)の演出を手がけ、「LIAR GAME ザ・ファイナルステージ」(10)で初の映画監督を務めた。本作「LIAR GAME -再生-」(12)が映画監督2作目。
発売元/フジテレビジョン 販売元/ポニーキャニオン