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ちょっとした拾い物をした感じ。オッパイの有無は知らないが、大柄の広瀬アリスが、巫女姿で神社の境内を歩く姿がいい。それと、境内にこっそり隠れ、賽銭泥棒などしている悪ガキ・健太役の山口太幹がいい。彼が口をきかないようにしたのは、作り手の巧みな設定だが、無言のまま、火遊びの延長でボヤ騒ぎを起こすところなど、不貞腐れ巫女のアリスにも手に負えないクソガキぶりでよい。撮影に、本物のというか、有名な福岡県の宮地嶽神社を使えたということも大きなプラスになった。
けんえんと打ったら、いきなり「嫌煙」と変換したのにムッときたが、こちらの『犬猿』は悪くない。マジメな窪田正孝と不良の新井浩文の兄弟に、出来る江上敬子と器量だけが売りの筧美和子の姉妹という二組が交差するさまが絵になっている。江上が作ったチャーハンを喰う新井の、「処女か」という一言にキレた江上が、スナック袋を投げつけたあと、スナック混じりのチャーハンを旨いと言って二人が喰うような細部が楽しいが、見ているうちに、不良の兄やブスの姉を応援したくなった。
レーニンのボリシェヴィキが、本当に唯物論的であったかどうかは、疑問だ。それがスターリンに引き継がれたとき、もともとあった霊的要素が、全面化したのではないか。その意味で、スターリンとレーニンの肖像写真が掲げられたこの実験室は、霊的ボリシェヴィキを招来するのに最適だ。だが、それにしても、長宗我部陽子の一声で始まるボリシェヴィキ頌歌(?)は怖ろしい。また、見てはならぬものを見る韓英恵の眼差しも。そして、真の支配者が、助手と思えた近藤笑菜だったとは!
男の子って、ホントにバカなんだから、って、世の女子に笑われるかどうかが、この映画の成績を決めるポイントだと思う。そうでなく、フン、なにこれ、ってそっぽを向かれたら、キビシイだろうね。童貞男子の妄想を、型通り律儀に辿ってみせたこの映画の努力は買うが、この殺伐な世の中で、どうなんだろう。バカバカしいけど、わかるよ、この感じ、と、どれだけの人が思うか。三人組のうちの二人はともかく、クンニに扮する林遣都の、メガネをかけた湿っぽい感じが、妙にリアルなだけに気になる。
ビニール袋を被る、被せる、という身振りの重要性は面白い。こういうところに監督の才能がかいま見える。だが物語設定をちゃんと作ってくれないと。女主人公がDV犯じゃないことは無能で愚劣な児相職員と神社関係者一名以外には分かっていたようなのに、誰も彼女を助けないのはヘンだ。特に親父の冷淡さは不可解の域を超える。助けなきゃ自分(神社)が困るでしょうに。それに主人公がイヤイヤ巫女をやってるのもヘン。やらなきゃ済む話でしょ。嵐大絶賛の夕日の参道は見応えあり。
日本映画史に残る冒頭のギミックに座蒲団(星)一枚献上。妹がサクラで現れるまで私も騙された。「麦子さんと」のアニメを使う仕掛けに似てる。ありふれた話をここまでリフレッシュさせる脚本も偉い。兄貴の「俺はチェンジをしない男として風俗業界では有名だ」という台詞も偉い。なかなか言える言葉じゃないよ。映画が終わると観客はこのデタラメな人に親近感を覚えるだろう。それに引きかえ弟は。打算なんだよな結局、と言いかけて我が身を顧みる。姉のダンスの切れも良く、見どころ。
イントロの伊藤刑吏が稲川淳二に見えた時点でこの企画は大成功。あたかも全篇オーヴが飛び交ってるような映画、実際一箇所飛んでたのではないか。タイトルの説明はここでは無理なので内容を総括すると「百物語」だね。語り終えた時に何が降臨するか、それは書けない。昔、高橋監督から霊的鞭という言葉を講義してもらったのを思い出した。見るというよりビシビシ引っぱたかれるような体験なのだ。韓ちゃんは生と死の媒介者みたいな役割を「ピストルオペラ」でも演じていた。納得也。
こういう性犯罪すれすれの映画をもっと見たい。ポルノじゃなくて喜劇だが。映画なんだからいいんですよ、悪いことしても。と言ってもほとんど妄想に近い悪事計画でいわゆる「児戯」ですね。童貞トリオの「救われなさ」に観客は救われるのだ。他の二人に比べても林クンの情けなさは別格で、存在感あり。エライザも、脱いでくれたらもっと偉かったとは思うが健闘。いや、脱がないからいいのだ。脱げる人がやったのではつまらない。純情なんだか何だか分からない彼女のキャラがいいね。
富岡八幡宮殺傷事件の直後に観たのでタイムリーな題材と思ったが、こちらは神社が舞台というだけで、その特殊性や内実は触れられず。設定ありきで辻褄合わせをする気もないらしく、暑い最中に子どもの顔をゴミ袋で覆ってヒロインが拉致し、かなりの時間を窒息状況にする描写など理解に苦しむ。広瀬アリスの不機嫌な表情のみが魅力だが、彼女が一顧だにしなかった〈信仰〉を劇的効果として使おうとしないのも不満。結局、主人公が就職をフイにしてまで神社に残る理由も分からない。
主演4人がみんな良い。新井・窪田はこれまでと変わらない役にもかかわらずベストアクトを見せ、未知数だった筧・江上は今後日本映画の常連になると思わせる意外な魅力を放つ。殊に過剰と抑制を巧みに使い分けた江上は、とてつもない鉱脈の発見。それが凝縮されたダンスシーンは抱腹絶倒である。絵に描いたような愚兄賢弟、賢姉愚妹の関係が時に逆転しつつ巧みな語り口で同時進行に描かれ、全員の感情がピークに達したところでクライマックスへ雪崩れ込む作劇の緻密な構成も圧巻。
メジャーで製作予定だったオムニバス映画を改訂して語りによる密室劇へと転じさせただけあって個々の挿話に厚みがあり、語りを立体的に交錯させる演出手腕と、長宗我部の怪演を筆頭とした演者にも感嘆。清順の申し子・韓英恵と、大和屋竺の継承者たる高橋洋との共闘は予想以上に〈魔〉を召喚させ、低予算映画の矮小さとも無縁にあの世の裂け目を垣間見せる。無機質な実験室、パイプ、回転する巨大鍋などの意匠も素晴らしく、低音で響く飛行機の音すらも不気味な地鳴りを思わせる。
童貞ものと言っても青春の一時代の悶々とした日々をおかしさと悲哀で描いた普遍的な青春映画の範疇だが、本作は〈童貞映画〉の作り方をこじらせたらしく、演出も糞真面目なので、レイプで童貞喪失を遂げようとするのをユーモアもなく描き、ドス黒い性犯罪に見えてしまう。一昔前に書かれた脚本をそのまま使っているらしく、セクハラで揺れる今、それでも青春映画として童貞を描くという地点には遠く及ばず。こんな性犯罪者みたいな主人公が野放しの町に住みたくないと思うのみ。