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いいねえ、徹底して行き当たりばったりで。親父さんが、貯金を貯めて買った中古の高級車に乗った二人組が、大学受験に失敗した仲間を乗せて三人になり、ヤンキーに絡まれたグラビアアイドルに乗り込まれたお陰で、車をボコボコにされ、素性も知れぬ風俗嬢まで拾った挙げ句、海辺に行く……その夜の、騒ぐわりには、バラバラな五人の動きを捉えた長回しがいい。そのあとの、一人がポンチョを纏うことになる前後も可笑しく、今どきのベタな恋愛映画など一蹴する青春映画の快作である。
またタイムスリップか。ま、そうでもしないと物語が出来ないということかね。どうせスリップするなら、50年ぐらい前に行けばいいと思うが、そのあたりの知識が原作者にはないんだろうな。手が届きそうなのが、1991年というわけだが、その程度じゃ、現在とのズレも、化粧やファッションが違う程度で大したことない。結局、見所は、16人の女の子たちが、AKB48のナンバーを歌い踊るというところに尽きるのだが、それは、AKB48がエライということでしかないんじゃないの?
教室の鍵についての他愛ない推理から始まり、先輩たちが作った文集を探し出し、そこから、1967年の学園祭の謎に行き当たるあたりまでは、その先どう話が転んでいくのかと、期待をこめて(?!)見ていたのだが……行き着いた先は、なに、たかが高校を退学になったぐらいで、その後の人生は、生きながら死んでいるようなもの、だって? アホか。そんな奴、さっさと死んじまえよ。当時の高校生も、ナメられたものだ。なにがアイ・スクリームだ。ま、原作の問題でもあるけどね。
坪井篤史という人は、確かに面白い。映画の観客が減る一方で、あるジャンルとか、映画会社のある時期の作品しか見ないというオタクは増えているようだが、坪井氏は、VHS収集ぶりは、オタク顔負けとはいえ、その域を遥かに超えて、映画館に人を呼び込もうと、文字通り身を挺して、色々な試みをやっているらしい。スクリーンの前面に着ぐるみで登場したり、映画を上映しない「映画祭」を一人トークで客寄せするなど半端ではない。ただ、それで通常の上映にどれほど観客が集まるか気になるが。
グラドル愛美ちゃんのキュートな水着ポスターは最初から店に貼ってある。見た目と裏腹な彼女の中身のギャップで物語が始まる上手い作り。もう一人、風俗嬢の彼女も得したね。だがロード・ムーヴィー篇の話、主役の男三人は今一つ盛り上がらない。俳優がいいので退屈しないのは上出来ではあろう。監督にも言いぶんがあるようだが、しかし女性陣を途中で退場させたのは失策である。もったいない。できればもう一人の主役染谷の卒業式ゲリラ・ライヴ篇も充実させてもらいたかったな。
ここまで本気のAKBフォロワーズ映画が見られるとは眼福なり。91年の青学で石橋杏奈センターのアイドル集団が圧巻のパフォーマンスを披露する。作り方は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だがバブル崩壊をリアルタイムで知っている世代には、どうでもいいような細部が楽しい。バンカラそのもの、伝説のアイドルおたく中尾明慶が実はオトメ系という、正気の沙汰とは思えぬ展開に大笑い。監督は歌謡曲マニアとしても知られる人、まさに水を得た魚の感あり。駒木根のラップも圧巻。
いわゆる「日常のミステリー」と呼ばれる小ネタの部分は快調。キャラクターも配役も抜群に良く、滑り出しは楽しかったがメインの謎が全然ダメ。私の世代でも高校生全共闘は既に全滅状態だったが、それなりの気配は覚えている。つまらんネタにされて彼らも気分悪いだろう。もっと書誌学的傾向を強調してもう一本作ってもらいたい。子供だましが過ぎるよ。昭和アイドル歌謡のファンは榊原郁恵ちゃんの名曲のフレーズを思い出してニコニコしてしまうだろうが、それだけじゃ星は伸びず。
この劇場に思い入れがある人なら、褒めなくても当然見るだろう。個人的には昔「ロッキー・ホラー・ショー」の上映前に有志による学芸会レベルの芝居を見せられた悪夢のような記憶が蘇り、評価する気になれなかった。ごめん。もう一つ気にくわないのは、この劇場のイベントにやってくる人の中に映画は見ない、と公言する輩が多くいたこと。何か違うんじゃないか。ただし若手監督たちが主人公を慕い、ここでかけるのを励みに撮りたい、と述べているのは素晴らしいことだ。頑張ってね。
卒業を目前に、無意味な衝動ではなく、なんとなくつるんでいる仲間と車に同乗して走り出し、なんとなくトラブルに巻き込まれていく流れが心地いい。殊にドライブインで不良連中からグラドルの佐津川を救うくだりは、最初クールな傍観者視点だったのが、仲間の一人が巻き込まれて一気に喧騒の渦中となり、車に飛び乗ると続いて佐津川も乗り込んで逃げるという、余計な説明を排し、描写を積み重ねて突出した場面を構築。表題のポンチョが絡む後半は淡々とし過ぎている感あり。
冒頭のフリースタイルラップに、そろそろこういうネタは若手監督に譲った方が……と思いかけていると、1991年にタイムスリップして金子修介の世界になるので納得。「どっちにするの。」の頃のノリを現代に甦らせてみせる。今やバブル期の話ですら時代考証が妙になることがあるが、金子の手にかかれば同年に撮った自作「就職戦線異状なし」まで劇中に引用する余裕を見せるだけに、タイムパラドックスからすれば手荒な設定ながら、ベテランのお手本のような演出を堪能する。
同じ安里・月永の監督・撮影コンビなら「罪の天使たち」ばりにゴシックな世界観を作り上げた「劇場版 零 ゼロ」が好みだが、本作は一見すると柔らかいトーンながら、60年代の学生運動の回想まで取り入れるなど撮影の趣向に目が行く。参照する紙資料が少ない上にネットにも頼らず付け焼き刃の知識と直感で推理するのが気になるが、図表にまとめながら読み解く作りはジュブナイル的な高揚感あり。自主映画の廃墟殺人シーンが絡んでくる続篇『愚者のエンドロール』の映画化を希望。
「VHSテープを巻き戻せ!」は閉じた世界だったが、遥かに凌駕するビデオを所有する坪井は映画館の副支配人でもあり、集客、上映を行い、あちこちで熱っぽく語る。映画愛の押し付けや、映画に愛されているという思い上がりもなく、ただ映画に突き動かされている人を眺めていると、なるほど映画を観たくなってくるのだから、やはり映画に選ばれてしまった人のようだ。最近増えてきた映画コメンテーター&紹介系タレントもこれくらい映画に狂っていれば耳を傾ける気が起きるのだが。