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これは、むろん、原作から来ているのだろうが、恋愛をホラー風味でまぶしてある点が買える。だいたい、いまふう美形の中山優馬が、ストレートに恋愛に突っ走っていたら、ファンには悪いが、当たり前過ぎてなんの面白みもないのでは? まあ、ホラーといっても、出てくるのは、よくある手といえばいえるが、優馬が、一瞬、何かを見て怯えることで、見る方も引っ張られるのだ。もっとも、自殺した少女と大和田伸也教授の娘との関係が、いまひとつ曖昧なまま終わっているのが気になるが。
顔のアップ大好き映画! たんにアップの数が多いとか、長すぎるというだけではない。通常のアップから、さらにカメラが仰角気味に寄っていったりするカットが何度もあるのだ。まるで、この顔、見て見て、とでもいうように。そんなに野村周平クンの顔が好きなのか。確かに、彼は誰からも嫌われそうもない、ノーマルな顔をしているよ。だからって、作り手の思い入れで見せられては辟易するしかない。話の細部では面白いところもあるのだが、これでは、★一つ減点するしかないね。
おバカ映画である。だが、これがいいのは、おバカ映画であることを十分に自覚して、それに徹しようとした作り手の心意気が全篇に漲っていることだ。STAP細胞ならぬセタップ細胞といい、地底から現れた大怪獣といい、それを「あの子」と呼ぶ環境団体といい、わずか数名しかいない自衛隊といい、予算の関係もあろうが、見るからにチャチな道具立てを臆面もなく繰り出して、一篇の映画を作ってしまう、その心意気。おまけに、なぜか毒蝮三太夫までが登場してきては、笑うしかない。
本作の手柄は、3・11の震災による原発事故に直面した菅直人首相を中心とする民主党内閣の面々を実名で登場させた点にある。これが、もし実名でなく、仮名だったら、ただの再現ドラマで終わっていただろう。この点が、現実を前提にしたドキュメンタリーとドラマの違うところだ。だが、それを別にすれば、これもまた顔の映画なのだ。むろん、アップに淫したりしてはいないのだが、事故を巡って右往左往する人間を描くとなると、その人間の顔を撮るしかないというのがなんとも弱い。
ホラー・コメディーというアイデアには文句なし。ただし怖くなく可笑しくもない、という結論。優馬くんは可愛いのだが。こういうバカ正直な反応を記すとかえって冷笑されそうだが、この映画のスタッフは死者への礼節を欠いていると思うね。特に屋上から飛び降りた女の子への同情心がひとかけらもないのはひどい気がする。お前、〇スなんだから化けて出てくんなよ、と言ってるみたい。そういう物語じゃないはずなのに。また謎の黒い影が謎のまま、というのもヘン。計算色々間違えたか。
こういう一見とりとめない映画、ダメな人は全面拒否だろうが私は大好き。東〇ガスの放映中止CMでの泣き演技で注目された女の子が、しょっぱなからゴーカイに泣いているのも注目。彼女を振った野村くんも、彼が通うもぐりの自動車教習所の一家も皆とりとめなく、気が短い人はいらいらするに違いない。だが一冊の官能小説を介して、もう一人の主人公賀来との運命の分岐点が語られる展開も優れており、かなり納得。原作が優秀なのか。日本版ケルアックってコンセプトなんでしょう。
この手の怪獣物は褒めるのも妙だがけなすのも妙。優れているのはつじつま合わせの三人一役コンセプトであり、プロレス好きなら楽しめること疑いなし。怪獣が、奪われた子どもを追って人間界に現れるという定番パターンも、ラストのひねりが効いていて上首尾である。ただ不思議なことに脚本はきっと笑えたのだろうが、画面はそれほど面白くない。特筆すべきはチープなりに本格的な大自然ミニチュア特撮で、スタッフに優秀な人材を集めたのだろう。私も毒蝮には最大級の感謝を捧げたい。
前回の原稿を送った翌日これを見て、K直人さんも御苦労されたんだなあ、とは思った。誰が首相でも、ああいう事態にちゃんと対処できたはずがない、とも思った。電力会社が情報を隠し続けていた事実もドラマとして構成されると実に面白く、時に喜劇と化す。トップほど無能、という典型の企業なんだね。首相官邸のあたふたぶり、どんどん危険地域が広がる福島の状況、と多面的にあの日が語られ、一つの総括にはなっている。もっとも、首相の福島行の描写に関しては多少遠慮もあるような。
冒頭、校舎屋上から飛び降りるまでを長回しで見せるが肝心の地面への落下はカットを割って弛緩した描写に終始。川に落ちるカットも同様だが全体に肉体の痛みが伝わってこないので恐怖も笑いも弾けない。主人公の恋愛感情が画面からは感じられずモノローグに依存。主役2人の学芸会の様な演技も酷く、島崎はやる気がないのか感情表現が薄く、出番の割に存在感なし。脇の高橋メアリージュンだけが唯一まとも。幽霊より太ったアトピー女が怖いと言ってるようにしか見えないことに憮然。
ナンセンスな世界に浸ることが出来れば楽しめるのだろうが、最初から最後まで筆者にとっては位相がズレたままで釈然とせず。横浜聡子的な自然とあふれ出る異物感ではなく、計算された緩さに乗れず。主役2人が変人を演じるには真面目すぎるのか野村の役は松ケンの様な弾け方が出来なければ厳しい。雰囲気のある木造校舎の教習所も、やくざもそれぞれが点として存在しているものの魅力的なつながりを見出だせず、免許の取得もどうでもいいと思えてくる。細部も含めて居心地が悪い。
他の大手映画会社が台風を過ぎ去るのを待つ中、「シン・ゴジラ」に便乗して企画をでっち上げる映画屋的な心意気は買い。とは言え、いつもの河崎実映画なのでお好きな方はどうぞという感じだが特撮には筋金入りの監督なので軽薄なパロディにはなっていない。殊にプロレスラーの飯伏を起用したことでモーションキャプチャーを嘲笑うかのようなリアル怪獣プロレスを実現させ、肉体と映画の厚みが独自の魅力に。特別出演の顔出しが多すぎて、その度に展開が停滞してしまうのが惜しい。
「大怪獣モノ」より本作の方が「シン・ゴジラ」に酷似しているので連続で観てもらいたい意欲作だが〈虚構〉がないぶん面白さには欠ける。現実をなぞっているだけで新しいものを観た気にならない。原発爆発から1時間後にTV報道されるまで国民と同じく官邸もマスコミも知らなかったなんて本当かよ? と思ってしまうが作り手の思想は隠して公平で両論併記な作りにしたことで公式見解を映画にしただけに思えてしまう。「音楽に政治を持ち込むなよ」の時代に迎合してはならない。