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トルコ共和国の独立は、第一次世界大戦後の一九二二年のことだから、一八九〇年のエルトゥールル号の遭難は、オスマン帝国下の事件ということなのだが……そのへんは、映画だからいい、ということなのか? 合作成立には、問題含みの日本、トルコ双方の政治的思惑が働いた匂いがする。が、ともあれ、和歌山県樫野崎沖でのエルトゥールル号の遭難場面や、救助や治療のシーンは迫力がある。対して、後半のテヘラン邦人脱出劇は、俳優もパワー不足、サスペンスも欠いて尻すぼみ。
これも大作なんだけどねぇ……と溜息が出るのは、それに見合うだけのパワーが感じられないからだ。実際の杉原千畝がしたことは凄いし、それは外国でもよく知られているのだが、この映画の印象は、ひどく稀薄なのだ。別段、唐沢寿明が悪いというわけじゃないが。確かに、「海難」みたいに派手な事件があるわけじゃないから、難しかったとは思うけど、迫力が感じられたのは、ヒトラー万歳で、ドイツとの同盟を推し進める大島大使を演じた小日向文世ぐらい、というのでは、寂しい限り。
この、どこが超常現象なのよ、といいたくなるが、最後にその看板を捨てるからいいか。ただ、寝転がって文句ばかり垂れている女に、アタマにきたテレビが人間になるのはいいが、今頃、箱形テレビというのは、どうよ。そのほうが、箱をアタマにかぶるだけだから簡単だし、わかりやすいというのでは安易過ぎない?これを薄型テレビにして、身体もそれに合わせて薄型にしたら、マメ山田だけでなく、見世物にしたいと思うけれど。まあ、テレビ人間が水に溶け、箱に戻るのは悪くない。
榎本監督、これは、エチュードのつもりで作ったのでしょうね? これで小手調べをして、改めて本格的に映画に取り組むと。論文に悩む哲学青年が、森の中でカフェを名乗る女と出会うというシーンが二度繰り返され、ご丁寧にその種明かしもされ、結果、書いたのが、デカルト批判って、緩すぎない! 唯一面白かったのが、論文審査の場で、志賀廣太郎の教授が、かつて東大総長についた某映画評論家そっくりの演技を披露するところぐらい。全篇に流れる音楽と歌は良かったけどね。
国策映画が今もあるのだと驚く。日本とトルコの友好をうたうなら、イラン・イラク戦争の際に当時の在イランのトルコ人が日本人に飛行機を譲ってくれたという話でいいはずなのに、それは1890年に日本人が和歌山沖で遭難したトルコ人を助けたから、という構成と企画で映画をつくるということは、たとえそれが美談であったということがあるにしても、もはや十分すぎるほどに醜悪ではないだろうか。役者や美術がいくら良かろうが根本が変だ。あと、日本はトルコに原発売るな。
柳広司原作、入江悠監督「ジョーカー・ゲーム」みたいなものに期待する、というか好き。戦時体制の日本を描く娯楽映画、史実を題材に感動や主義よりも娯楽性や活劇性を優先させてつくられる映画を求む。本作は意外と、結構それをやってた。満州で暗躍するスパイ杉原千畝というネタの良さ。杉原が特異な存在で、当時の日本政府と意見を異にしていたことが出ているのはいいが、それでもやはりナチスドイツと同盟国だった日本の言い訳というかユダヤ人への恩の押し売り感は否めない。
若い娘のテレビへの話しかけが一万回を超え、そのテレビが若い男になり恋人になる。アイデア、観念が素晴らしい。お前らテレビとヤッてんだろそれがいいんだろ(テレビ男はチンコがデカい)、とか、家族や家庭を捨てたような気でいてもそこに戻っちゃう(主人公も、脇役の家出人妻も)という皮肉が生じている。受信料徴収者が味方だとか、主人公はUFOよりテレビを選ぶなど、大きな否定や変革を拒むコンサバな世界観だし、私はテレビが嫌いだが、この可愛い映画を嫌いにはなれない!
きみはどうなの?、という詞の歌が歌われるが珈琲に関して言うとスターバックスとタリーズを嫌う私は最近メキシコのサパティスタが作った豆を家で自分で挽いて飲む。んなこと聞いてないか。本作が問うのはそういう政治的な趣味ではなく現代の物心の乖離。精神を病むほど悩む哲学者は森で出くわした女子大生のギター弾き語りに啓示を得る。これにかつて中沢新一や浅田彰が詩的な表現で思想をやったのを連想。ささやかに見えて射程は大きく、観る甲斐のある映画。画面も良い。
トルコが親日国であることは知っていたが、「エルトゥールル号海難事故」の詳細は知らなかったので、事故の内容と、トルコの人々の抱き続けた恩義について興味深く見た。映画の脚色は多分にあるだろうものの。いくらでも感動を煽れそうなテーマだが、抑制の効いた丁寧な演出が印象的。暴風雨のさなか沈みゆく船と、遊郭の乱痴気騒ぎを交互に見せる映像も美しい。「真心」が鍵となる作品だけに、映画への真摯な姿勢に好感が持てた。二役を演じた忽那汐里の、多くを語らず目で訴える表情がいい。
2時間19分。結構な時間(とお金)をかけて描かれる「日本のシンドラー」の半生。だが、見終わった直後に「杉原千畝とはどんな人物か」と誰かに尋ねられたとしても、明確に答えられる自信がない。ユダヤ難民にビザを発給し、多くの人の命を救った、という事実以外には。実在した人物の名を冠した映画であるにも拘らず、この作品からは杉原千畝という人間の血や肉が感じられず、惹きつけられる魅力に乏しい。爆撃音が響く中で対峙する小日向vs唐沢の場面には臨場感があったけれども。
ポップでサイケでまるで先の読めない、「見る漫画」とも呼びたい超絶ドタバタ・ラブコメディー。小日向文世の毒を吐きまくる父親をはじめ、ヒロインとTV男の恋を巡る、細々したギャグの一つ一つが結構ツボで笑ってしまった。「さまよう小指」で世間の度肝を抜いた竹葉リサ監督。広くわかりやすく、なんとなく意味がありそうで最後はすごく泣けました、みたいな映画をよしとする風潮に風穴を開ける自由な感性。この突き抜けたバカバカしさと痛快さは貴重では。今後の期待も込めて★を!
色づく秋の風景。森の中に現れる不思議なカフェ。その画はとても美しく、昔愛読した『りぼん』にも通じる少女漫画的な世界。となると、ターゲットは女子なのか? それとも夢見るおじさまなのか? そのあたりが最後まで不可解だった。哲学をちりばめた会話の妙をギャグに昇華させてくれていたら、もう少し印象が違ったのでは。論文の書けない哲学者と、コーヒーを持って現れる不思議な女。雰囲気以上に、2人のキャラクターの持つ魅力や面白味に、より重きを置いてほしかった気が。